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帝警備淫夢譚
第2章 松葉昴司、彼女を想い反省す
俺は何をやってるんだ…。
昼間から川面を見ながら、ベンチに座って、小石を投げて…。
10年前は帝警備の局長だった。大卒の26歳でだ。特例中の特例の昇進に拍手喝采。年上の大人たちが俺にひれ伏していた。
命がけのミッションを俺は怖れなかった。
公安が攻めあぐねていた宗教団体を内偵し大規模テロを未然に防いだ。国際テロ組織に囚われた邦人を救出したこともある。大物政治家の収賄を暴き、国内外の要人警護を指揮した。それに指定暴力団を二つほど壊滅させた。
それがだ。一人の女子高生を自殺から救ったあたりから事情が変わった。
彼女は自殺の名所として知られた雪の峡谷にダイブしようとしていた。俺は短い休暇を利用しスキーに来ていて、彼女が立ちすくむ橋の上を通った。職業柄、後ろ姿を見ただけで分かる。車を停めて、バカなことはやめろと、ありきたりなことを言った。
彼女は泣いていた。年齢は聞かなかったが、高校の制服を着ている。17,8歳だろう。
聞けばリベンジポルノで酷い目に遭っているという。そんなバカな男のことは忘れて、若いんだから良い恋人を探しなさいと、オッサン染みたことを言った。
彼女はただ泣いていた。ハッキリ言って、どうしたらいいか分からなかった。命懸けのミッションはこなせても、泣いている女子高生をどうすることも出来ない…。
そんなはずはない!俺に不可能はない。冷静に考えろ。当時の俺は、自分に変えられないものはないと思っていた。些細なことにもムキになる傲慢さが俺を支配していたのだ。
考えればすぐに分かることだった。
彼女が俺に恋心を抱けばいいんだ。
彼女には、もう少しだけ頑張ることを約束させた。そのかわり、苦しくてどうしようもない時は連絡して構わないと自分の携帯番号を教えた。
彼女とは何度か電話で話した。でも深入りは出来ない。元気になってきた頃を見計らって、仕事で海外赴任すると伝えた。
昼間から川面を見ながら、ベンチに座って、小石を投げて…。
10年前は帝警備の局長だった。大卒の26歳でだ。特例中の特例の昇進に拍手喝采。年上の大人たちが俺にひれ伏していた。
命がけのミッションを俺は怖れなかった。
公安が攻めあぐねていた宗教団体を内偵し大規模テロを未然に防いだ。国際テロ組織に囚われた邦人を救出したこともある。大物政治家の収賄を暴き、国内外の要人警護を指揮した。それに指定暴力団を二つほど壊滅させた。
それがだ。一人の女子高生を自殺から救ったあたりから事情が変わった。
彼女は自殺の名所として知られた雪の峡谷にダイブしようとしていた。俺は短い休暇を利用しスキーに来ていて、彼女が立ちすくむ橋の上を通った。職業柄、後ろ姿を見ただけで分かる。車を停めて、バカなことはやめろと、ありきたりなことを言った。
彼女は泣いていた。年齢は聞かなかったが、高校の制服を着ている。17,8歳だろう。
聞けばリベンジポルノで酷い目に遭っているという。そんなバカな男のことは忘れて、若いんだから良い恋人を探しなさいと、オッサン染みたことを言った。
彼女はただ泣いていた。ハッキリ言って、どうしたらいいか分からなかった。命懸けのミッションはこなせても、泣いている女子高生をどうすることも出来ない…。
そんなはずはない!俺に不可能はない。冷静に考えろ。当時の俺は、自分に変えられないものはないと思っていた。些細なことにもムキになる傲慢さが俺を支配していたのだ。
考えればすぐに分かることだった。
彼女が俺に恋心を抱けばいいんだ。
彼女には、もう少しだけ頑張ることを約束させた。そのかわり、苦しくてどうしようもない時は連絡して構わないと自分の携帯番号を教えた。
彼女とは何度か電話で話した。でも深入りは出来ない。元気になってきた頃を見計らって、仕事で海外赴任すると伝えた。