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PM2時〜パッカー車の恋人〜
第19章 入院

☆星野涼side☆
あの日シャンプーの香りの変化を感じてから、紗蘭に特に変わった事はなかった。
紗蘭の洋服から感じたかすかな香水の香りもする事はなくなった。
メンソール系の煙草の香りはするが、やはりどこかの店でついたものだったのだろうか?
紗蘭のうなじにキスマークを付けてから、しばらくは紗蘭を抱く度に体を確認したが、何もなかった。
やっぱり、俺の勘違いだったんだろうか…。
そう思いながらも、平穏に暮らしていたのだが、何日か前から紗蘭の体調が悪いんだ。
何だか体が怠いようで顔色が優れない。
熱はないようだが、食欲もないようで、ここ数日口に物を入れていない。
食べてもすぐに吐いてしまう。
ずっと寝室に籠り仕事にも行けずに、ただひたすら元気を失っていく紗蘭に、俺は何もしてやれずにいた。
ベッドで眠る紗蘭の髪を優しく撫でると、紗蘭がゆっくりと瞳を開いた。
「涼…ごめんね。何も出来なくて…。」
「いいんだよ。それより、何か食べよう…。ゼリーとかでもいいから、少し食べよう。」
「うん…。」
そう言って体を起こそうとした紗蘭の肩を抱いて体を支えてやる。
その紗蘭の体は、今まで以上に痩せて細くなっていた。

