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渇いた人妻たち
第2章  身の上話
 「駄目よ、こんな所で」
 浩美は征男がいきなり手を伸ばしてきたのでキスでも仕掛けて来たものと勘違いをしたようであった。
 「違うよリクライニングのレバーが君の向こう側に有るからそこへ手を伸ばそうとしたんだよ」
 「そうだったのご免なさい」
 征男は浩美が納得したので今度は大胆に左手を彼女の右大腿部の横に置き、右手を延ばすとき、肘は意識して太腿の辺りに重力をかけゆっくりとした動きで彼女を抱くような姿勢となり、そのレバーに指先をかけて引き上げ、シートを半分程倒すと征男の眼下で目を閉じて無防備な姿勢の浩美が横たわっており、その時征男は唇を重ねたい衝動に駆られたが、事を急いで嫌われては元も子も無くすとぐっと我慢をして、次に自分のシートも同じ角度に倒してから、
 「上向きだと帯が邪魔になるだろう?横向きになると良いよ」
 「そうね私もそれを言おうと思っていたの」
 「マットも綺麗に掃除してあるから草履も脱いで楽にすれば良いよ」
 「そうさせていただくわ」
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