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3週間の情事
第2章 1日目
「あ……ま、待って下さい! 今話しますので!」
俺が逃げるとでも思ったのか、空森さんは慌てて事情を話そうとしてどもっている。
必死な姿が、妙に心を打つ――――。
「大丈夫ですよ。お話はちゃんと聞きますので。今日は午後から外回りになってしまうので、そうだな……明日の朝、またここで同じ時間にどうでしょうか?」
なるべく早く話を聞いた方が良いと思って、提案してみた。
「明日の……朝?」
「はい。早いですかね?」
「い、いえっ! 私は大丈夫です。山之内さんこそお早いんじゃ……」
眼鏡のレンズ越しでも空森さんの目からは、本気で恐縮しているのが伝わってくるようだ。
なるべく空森さんが、気にしないように言葉をチョイスする。
「俺はいつもここでコーヒー飲んでるんですよ。そろそろ始業時間になるので、戻りましょう! 続きはまた明日に!」
満面の笑顔を向けると
「あ、はいっ! すみません!」
空森さんは嬉しそうに少し顔を赤らめて、カフェオレを急いで飲み干した。