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3週間の情事
第3章 2日目
「えっ! 自分で買いますよ!」
慌てて空森さんに付いていこうとしたら
「いえ。昨日は奢って頂きましたので、今日は私に買わせて下さい。それに朝から私なんかの話を聞くために、早く出勤して頂いているので、本当に申し訳なくて……」
両手で財布をギュッと握り締め、眉間を寄せて切々と語られる。
これは断りにくいよな……。
「じゃぁお言葉に甘えます。俺ブレンドのブラックでお願いします!」
コーヒーは3種類あるから、空森さんが悩まないように具体的に伝えておく。
「ブレンドのブラックですね! 分かりました!」
さっきまで悲壮感を浮かべていた顔が、一気に明るくなる。
飲み物を買いに行くだけでも真剣になっている空森さんが、微笑ましく思えた。
恋人の振りをするかは別としても、今までにいなかったタイプの空森さんに、興味が湧いてくる。
こんな初々しい人の相手なら、その人もきっと純粋なんだろうな――――。
何か遠くを見つめるように、小さな窓から見えるビルの林をボンヤリと眺めた。