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わけありっ、SS集!
第2章 ぎゃるかのっ!

「…………ぴゃっ!?」
その日の講義が終わり、ようやく一息ついた平日の夕方。俺はスマホを開いて、ついつい奇声を発してしまった。
二十歳の男子大学生がなんつー声を、と後悔し、慌てて辺りを見まわす。いや、びっくりしすぎてつい。ちょうど俺の周辺の席の学生たちは、みんな講堂を出ていったあとだったからもーまんたいだった。
良かった! 心の底から良かった!
気を取り直してスマホの画面へと、そこに表示されているラインメッセージへと目を戻した。
それは紛れもない、俺の彼女から。彼女からのラインは普通に嬉しいんだけどね。問題なのはメッセージの内容だった。
「よ、読めねええええっ」
もう日本語じゃなかった。記号を使ったただの羅列がずらりと。暗号かっていう。
彼女曰く、これは『ギャル文字』というものらしい。
そう、俺の彼女、ミサキは元ギャルだった。一時期流行ったガングロ系の。ニッサロとかで肌を真っ黒に焼いて、目のまわりを白く塗ったりとかもする、ちょっと……いや、かなり独特なメイクが特徴の、あのギャルだ。

