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わけありっ、SS集!
第2章 ぎゃるかのっ!

……イライラしてたのもある。音ゲー仲間には逃げられるし、やりたかったゲームできないし。彼女の見た目もやかましいテンションもきつい香水の匂いも、生理的に合わなすぎて一緒にいることじたいが苦痛だった。
だからつい。普段は絶対言わないような酷い言葉を口にしていた。
すぐにはっとして、彼女を見る。彼女は呆然と突っ立ったままだった。
濃すぎるメイクからは、表情は読み取れない。
俺は焦った。いくら外見がヤマンバみたいなギャルだからって、一応女の子なのに。一時の感情に任せて、言いすぎでは!?
「もぉ、いいっ」
「……え?」
「ムカ着火ファイヤアアアア」
「お……っ!?」
なんだその、魔女っ子アニメの必殺技みたいなのおおおお!
ヤマンバが踵を返し、走り去っていくのを、俺は黙って見送るしかなかった。
ちなみにあとで調べたら、ムカ着火ファイヤアアアアはとにかく怒ってる時に使うギャル語らしい。つまり彼女は怒っていたのだ。

