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わけありっ、SS集!
第3章 狼とエビフライ

ーーそれは例えるなら、一種の伝統行事のようなものだった。
「見ろよ、あれっ! 番長だっ」
「あ、本当だっ」
「みんなー、道を開けろ……っ」
「狼番長のお通りだぁ!」
とある男子校の廊下にて。その姿を一目見るなり、そこに居合わせた生徒たちはこぞって道を開け、狼番長こと西牧狼也(にしまきろうや)を羨望の眼差しで見つめる。
今日もだ。見慣れた光景に、僕はふぅ、と小さく息を吐き出した。
今日も狼也くんは、そんな感じで大勢の生徒たちに道を譲られていた。人でごった返しているはずの購買前の廊下は、彼が通る時だけはきちんと道ができる。狼也くんはいつものように、淡々とそこを通って屋上へと行く。
僕も数歩離れてあとを追った。

