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わけありっ、SS集!
第4章 ままごと遊び

 支度を終えて朝食を食べ始めてから、忍はずっと俺に話しかけてくる。
 俺はずっと無言で相づちさえ打たずにシカトを決め込んでいたけれど、あまりに喋るから、沸点突破だ。
 寝不足と低血圧。変な夢は見るし、アラームはうるせーし、ああ、くそ、全部が腹立たしい。

「……ごめん」

 忍はうつむいて、小さく謝った。

「……もういらね。学校行く」
「ダメだよ、朝食はちゃんと……」

 口にしかけた忍の言葉に、さっき見たばかりの夢の、母の言葉が重なった。

 ーー朝食は一日の基本だからね。何があっても食べなきゃダメよ。

「てめえ……、いい加減にしろよっ」

 がしゃぁんと派手な音が、張りつめた重い空気をぶち壊した。食器が割れる音だ。俺はとっさに、テーブルに並べられた朝食を腕で凪ぎ払っていた。
 今までも不機嫌な気分で朝食についたことは幾度となくあるけれど、こんなことをしたのは初めてだ。
 忍が「ひっ」と怯えた声を漏らしても、俺の怒りはおさまらない。
 マグマのようにぼこぼこと、血液の中で煮えたぎっていた。
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