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向日葵
第8章 愛の痛み
 白石は私に近づく。

 「あっ、ドライアイみたいです。
今日は乾燥してるから……」

 取り繕った言葉を選んだが、後から後から涙が溢れ出し、止める事すらも出来ずにいた。

 「何かあった?
また嫌がらせ受けてるとか?」

 私はハンカチで目頭を押さえ、下を向いて首を振る。
今、涙の訳を言葉にしたら一気に脆く崩れ落ちてしまう。


 「迷惑じゃなければ、君が泣き止むまで傍に居ていい?」

 嗚咽が漏れて、それを抑えようとすればするほど、意志とは逆に声を上げて泣いてしまっていた。

 そんな私を抱え込む様に白石は後ろから抱きしめた。
肩に掛かる腕の重みや肌の温かさを感じると、不思議と安心出来た。

 だけど、溜め込んでしまった感情は一気に噴き出して、優しくされればされるほどコントロール不可能状態。

 「もう、誰も居ないから安心して泣いて下さい。
我慢なんてしなくていい。
俺も邪魔かな?」

 肩を震わせ泣いていた。
返事など出来ず、ただただ泣いた。
 
 「勝手に居るよ。
放っておけないから」

 泣き止むまで、白石はそのまま私の背中を抱いていた。

 
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