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向日葵
第8章 愛の痛み
 涙はどんなに流れても、いつかは止まる。
みっともないほど人前で泣いてしまっても…
止まるんだ。

 「コーヒー淹れるよ!
めちゃくちゃ美味いやつ。
白石スペシャル!」

白石は私の前にコーヒーを淹れたカップを渡した。

 「会社に置いてあるドリップコーヒーじゃないですか!」

 「うんうん、そう。
少し、元気になったみたいだね」

 私はカップのコーヒーを飲んだ。

 「甘い」

 「甘いでしょ?
疲れた時は甘いものがいいらしい。
俺は甘い男じゃないからコーヒーくらいはねっ!」

 「白石さんは優しいですよ」

 「男を褒める時に優しいは禁句。
誰にでも優しく出来るわけじゃないのに、それを言われちゃうと他に魅力ないみたいじゃない?」

 「あっ、私、別にそんなつもりで…」

 「今日はお酒も飲んでないし、白石チーフ寄りで川上さんの涙の訳を尋ねてます。
話したくないなら話さなくていいよ。
ただ、哀しみを溜め込まないで下さい。
笑顔が消えてしまうのは残念だからさ」

 「……私の愛した人が今日結婚しました。
祝福しなきゃいけないのに、最期まで僅かばかりの大どんでん返しを期待していました。
でも、そんな奇跡は起こらなかった」
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