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向日葵
第8章 愛の痛み
 「人間らしいですよ。
愛している人を祝福出来なくて、その哀しみに大声を上げて泣けるのは……

 それが川上さんそのものの愛し方なんですね。
手にはいらない愛が大きければ大きい程、現実を背けたくなる。
愛された方は幸せですね。
そこまで自分を愛してくれる人に、生涯どれくらい巡り会えるんだろう?」

 「白石さん…」

 「先日、酒の勢いで川上さんに想いを伝えましたが、まだ踏ん切りはつきません。
玉砕しても心はまだ動けない。
だから、諦めがつくまでその気持ちのまんま過ごしてます。
これも愛が叶わない男が出した答えです」

 「私には勿体無いです」

 「勿体無いと思ってくれるなら、俺を愛して下さい」

 「それは……無理なんです。
私は男の人に恋心を持ちませんから…」

 「残念ですね。
俺も、今の川上さんの気持ちを凄く理解出来るわけですよ。
叶わぬ想いを背負うって痛いですよね。
行き場所のない気持ちは消化するまで続くんですからね…」

 「ごめんなさい」

 「謝らないで下さい。
川上さんは悪い事をしてない。
正直に生きているからこその言葉じゃないですか?」


 「はい」

 「さて、もう今日は帰りますか?
辛い一日は終わりました。
明日からは川上さんが変えてゆくしかないんですよ。
解決してくれるのは時間だけです」
 
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