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第9章 セカンドセックス

　「人間はそうやって、試し、試されながら生きているんじゃない？
確かに、川上さんがした事は悪い。
悪いけど悪いなりの理由がある。
若さゆえの間違いでもある。
秋津さんに仕返しをしたかった気持ちも分かる。
自分だけが傷つくなんて許せなかった。
その為に、関係のない秋津さんのご主人や友達を巻き込んでしまった事は悪い。
悔やんで反省すべきところだよ。

　ただ、セックスって相性だからね…
合わなければ別れるっていう選択は間違いではないと思う。
合わない事を続ける意味はない。
終わった後に本当の気持ちに気づくっていうのもあるよ。
相手の立場に立って考えれば、その理不尽さに傷つくよ。
でもさ、それも過去として次第に忘れてゆくもんなんじゃない？
嫌な事は忘れたいんだ。
傷つく事には蓋をしたくなるんだ。
もし、君がした事はトラウマになるほどの事なら、秋津さん達も結婚なんてしてないんじゃないかな？
子供も授かってないと思う。
男もバカじゃないよ。
結婚となれば慎重になるはずさ。
ちゃんと好きになって、一緒に居て楽な人を選ぶんじゃない？

　秋津さんも、川上さんに負い目があるから気になるんだ。
過去を過去と割り切ってないからだよ。
端から見たら、十代の若い頃の過ちや出来心で片付いてしまう事かもしれないよ？

　考え方一つで変わる事。
過去に縛られたら、その呪縛から逃れられない。
狡く生きればとことん狡くなれる。
誰かのせいにして生きていくのは楽だからね。
君もその呪縛から解放されて楽になったらいい」