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向日葵
第1章 愛を契る
 葉月は私の隣に座り、缶ビールを飲みながら、語り始めた。

 「クールなすみれちゃんもどん引きするくらい驚くんだ?」

 「…あっ、確かに驚いたけど、どん引きとかでもなく、自分とは違い過ぎるな…って正直思うよ」

 「人間は一人一人みんな違うわ。
たまたま私が三島屋の跡取り娘として生れただけじゃない?」


 それが、一般Peopleから見たら凄いんだよ…
そう思ったが、言葉にするのは辞めた。

 現に葉月は、三島屋の跡取り娘=セレブを除けば、私と同い年であり、金持ちだからといって、それを自慢する様な厭味な感じもしない。

 ボーイッシュな外見でありがらも、中身は可愛い女の子。
 ーーそれが、三島葉月。

 親しくなってからは、私も彼女に居心地の良さを感じていた。
出来れば、教習所を卒業しても、たまには連絡を取り合い、お茶や食事に出掛ける友達で居て欲しいなどとも思っていた。

 でも、この現状を見て、それはやや無理なのかもと思えた。

 平凡なサラリーマンの家に育った私とは、生活のレベルが違い過ぎる。

 父は定年まで住宅ローンを抱えている。
それに私の大学の学費もまだまだ掛かる。 
母もそれを助ける為、近所のスーパーでパートをしていた。
私も出来るだけ金銭的な迷惑を掛けたくないので、教習所のない日には家庭教師のバイトなどをし、お小遣いなどは親にはせがまず、自分の出来る限りの事はしていた。


 ーー葉月と私では、生活のレベルが天と地のほどの差がある現実に、実際は引いてしまっていたのだ。

 
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