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向日葵
第7章 愛と孤独
 周りの目を気にして、仕事が出来ないなどと言われたくもない。
私には社会人としての意地もある。

 社内に残り、一人で黙々と残業をしていると…

 「川上さん、もうすぐ仕事終る?」

 「はい」

 「たまには飯でも行きますか?
仕事の進み具合も聞いておきたいし…」

 「あっ、えっ、はい…」

 「あんまり気にすんなよ?
人の噂なんてさ、喋り疲れたら終るから」

 皆が少しずつ距離を置く中、白石は私にずっと普通に接してくれていた。
蔑んだり、異物を見る様な冷たい目で私を見たりしない。
それは、チーフとしての皆のまとめ役としての責任からなんだろうが、こういう時にこそ、人間性が大いに出るものだと思った。
毎日の生活を支える為に仕事をしている。
それは、皆と変わらぬ普通の感覚な筈なのに、ビアンというだけで、そういう事すらも障害となってしまうのかと報われない気持ちやストレスでキレそうになるのをグッと抑えていた。

 退社後、白石と夕食を兼ねて飲める大衆居酒屋に行った。

 お疲れ様の生ビールで乾杯し、刺し身や唐揚げ、野菜スティック、お好み焼きなどをつまみに注文して呑み始めた。

 「川上さん、最近痩せたろ?」

 「えっ?」

 「元々細いのに痩せたら健康に悪いでしょ?
沢山食べなよ?
あっ、こういうのセクハラになるかな?
でも、心配だからさ…
うちの仕事は体が資本だからね!
デリケートな悩みを抱えて大変かもだけど、基本、俺達は会社に仕事に来ていて、一つの雑誌を作る為に毎日駆けずり回って、そんな中でいろんな出会いもあって、良かったり悪かったり繰り返しながらいいものを作りたいと思ってる」

 「はい。そうですよね」

 「川上さんが手を抜かないで、ちゃんと業務をこなしているなら、それ以外に問題なんてないじゃん!
堂々としていればいい」

 「白石さん…」
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