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続「辿り着く 先には」
第2章 『堕落』

「どうしてでも、そんな酷い事が出来たのかしら。」
深く息を吐いてから、言葉を紡ぐ。
「父には借金があった、僕はその時は大学に通っていたし兄は近くにいたけれどそういうことには関心を示す様な人ではなかったから。気付いたときには遅かった。」
「借金の肩代わりに全てを売り飛ばして良いわけは無いわ。それも、勝手にだなんて・・・」
「伯父さんもその時は本当にお金には困ってたみたいやしな。でも、母は元より居なかったから良かったけれど父も、結局そのあと病気で亡くなった。13から母を亡くして、それに父も家すらも・・・もう、僕には帰るとこは無い。」
ハンドルを握る手に手を重ねた。聖の深い悲しみが入り込んでくるようだった。
「でも、今のご家族がいるでしょう。奥様も子供さんも貴方を必要としているわ。」
「それは、絶対やから。でも、自分の家族はもう、あらへん。それは辛いことや。」
「私もいるわ、聖。どんなに、辛くても悲しくても私が心を温めて側に居るから。誰が離れていっても、最後に残るのは私だと思うわ。」ちらりと横目でそれを見た聖。真っ直ぐに目を向ける絢音に、首を振る。
「そう、女達はみんな同じことを言って居なくなった。」過去の女達の話が出て、心がささくれそうになる。目の前の道路を眺めながら同じ言葉を紡いだ。
「どんな、女の人達が貴方を支えたかは分からないわ。でも、私だけは違うから。一生、貴方は私を支配してくれると言った。だから、私の心と魂そして身体はもう貴方の物よ。」
「ずっと、奴隷でいるんやな。」その、奴隷の考えにはまだ納得していなかったが支配については学んだ。
「貴方の側にずっと、いるって言うことよ。」
ゆっくりと道が弧を描いて曲がると、煌めく湖が目に入って、車の中の雰囲気も一瞬にして光が入った。
「ああ、本当に凄い綺麗しかも大きい。海みたいね。ありがとう、聖。連れてきてくれて。」
「風が少し強いな、波が出来てる。少し走ると車を停めれるから。ゆっくり、眺めてなぁ。」柔らかい守山の方言が優しい。京都に近い分、物腰がゆったりだった。その、雰囲気が好きだった。所作も美しいところがいくつもあって、聖を愛しているのだと本当に思った。
深く息を吐いてから、言葉を紡ぐ。
「父には借金があった、僕はその時は大学に通っていたし兄は近くにいたけれどそういうことには関心を示す様な人ではなかったから。気付いたときには遅かった。」
「借金の肩代わりに全てを売り飛ばして良いわけは無いわ。それも、勝手にだなんて・・・」
「伯父さんもその時は本当にお金には困ってたみたいやしな。でも、母は元より居なかったから良かったけれど父も、結局そのあと病気で亡くなった。13から母を亡くして、それに父も家すらも・・・もう、僕には帰るとこは無い。」
ハンドルを握る手に手を重ねた。聖の深い悲しみが入り込んでくるようだった。
「でも、今のご家族がいるでしょう。奥様も子供さんも貴方を必要としているわ。」
「それは、絶対やから。でも、自分の家族はもう、あらへん。それは辛いことや。」
「私もいるわ、聖。どんなに、辛くても悲しくても私が心を温めて側に居るから。誰が離れていっても、最後に残るのは私だと思うわ。」ちらりと横目でそれを見た聖。真っ直ぐに目を向ける絢音に、首を振る。
「そう、女達はみんな同じことを言って居なくなった。」過去の女達の話が出て、心がささくれそうになる。目の前の道路を眺めながら同じ言葉を紡いだ。
「どんな、女の人達が貴方を支えたかは分からないわ。でも、私だけは違うから。一生、貴方は私を支配してくれると言った。だから、私の心と魂そして身体はもう貴方の物よ。」
「ずっと、奴隷でいるんやな。」その、奴隷の考えにはまだ納得していなかったが支配については学んだ。
「貴方の側にずっと、いるって言うことよ。」
ゆっくりと道が弧を描いて曲がると、煌めく湖が目に入って、車の中の雰囲気も一瞬にして光が入った。
「ああ、本当に凄い綺麗しかも大きい。海みたいね。ありがとう、聖。連れてきてくれて。」
「風が少し強いな、波が出来てる。少し走ると車を停めれるから。ゆっくり、眺めてなぁ。」柔らかい守山の方言が優しい。京都に近い分、物腰がゆったりだった。その、雰囲気が好きだった。所作も美しいところがいくつもあって、聖を愛しているのだと本当に思った。

