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第9章 Scene.08

　
「と、とにかく、無事で良かったッス」

　ぴんちゃんから解放されたヤスの顔が心なしか引き攣ってる。

「アンタ達も………相変わらずね」

　よく見たら、アカネに片足持たれて引き摺られているシュウの姿があった。

　もう勇者とは思えない情けない姿。

　と言うか、ツッコんだら負けだと思って目を逸らした。

「え、エリスさぁん」

「ちっ」

　関わるまいと思っていたのに、シュウに声を掛けられたらシカトする訳にもいかない。

「アンタも…変わらないわね」

「は、はは………」

　まぁ、たった僅かな間だけだから、変わるとも思ってなかったけど。

「で、ですよ姐御」

　ちょっと空気的な存在になりかけたヤス。

「無事に合流出来たんで、さっさと森を出ようと思うんスけど」

「反対する理由も無いわよ」

　オークとかオオカミ男とかウロウロしてて刺激には事足らないけど、やっぱり人工的なモノが恋しくなってるし。

「それじゃ、さっさと行きましょ」

　シュウを引き摺った儘で先頭を歩くアカネについて行った。