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明治鬼恋慕
第8章 城下町
こんなくだらない世界に、生きる意味なんて見いだせなかった。
身に覚えのない濡れ衣を着せられ、組の追っ手から逃げる日々。
見つからないように人里を避けて移動すれば、時代にあぶれた無法者たちがいい餌を見つけたとばかりに狙ってくる。
醜い
醜いんだ、人間なんて…。
ひとりひとりは何の力も無いくせにうじゃうじゃと群がっては、自己完結な理論で自分勝手な理想を語る。
弱さを隠すために異形のモノを怖れ、迫害することで安心を得ようとする。
…うんざりだった。
だからあの日も、治癒能力の高さゆえに死ぬことさえできない…そんな自分を呪っていた。