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明治鬼恋慕
第8章 城下町
「人であふれてる…」
「うん、そうだね」
播磨国の中心地、白鷺城の周りに造られた城下町。
本陣からは遠く離れた、外濠近くの町人街を彼等は歩いている。
「山から見下ろした時も思ったが、道が真っ直ぐで面白いな。このまま進んだら城に入れるのか?」
「残念ながら、僕らは城にまでは入れないよ」
「そりゃそうか。いや~それにしても…」
すごいなぁ、と言いそうになり
先ほどからこの言葉ばかり連呼している自分に気付いて焔来は一旦、舌を止めた。
しっかりと街割りされた区画。
道の両側を隙間なく埋める家屋も、落方村の家と比べるとずっと背が高い。
そして黒い屋根。リュウが「瓦屋根」だと教えてくれた。
そんな家屋の正面ではそれぞれ見世が営まれていて、道行く人間が立ち寄っている。
白く荘厳な城に見下ろされたこの場所で人々は活気に満ちていた。