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明治鬼恋慕
第8章 城下町
「焔来……」
「プ…クク」
「笑いすぎ、だよね」
「悪いって」
可笑しくてたまらない焔来が、にやにやと笑いながらリュウに提案する。
「お前さ、女の形( ナリ )したほうが怪しまれないんじゃないか?これを機に女物を買っとこう」
「それ、…本気で言ってる?」
「本気の本気」
本気が半分、悪ふざけが半分。
目立つことが厳禁な自分たちとしては、少しでも街になじむため工夫をしなければならない。
それに女装のリュウがどうなるのかという興味もあった。
「試しに着てみようぜ。──おい、女将さん」
見世の表に立つ女将( オカミ )に、焔来は女物の着物を催促する。