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明治鬼恋慕
第8章 城下町
「ん? もしかしてこいつ等……」
「…?」
着物を脱ぐリュウの手が途中で止まる。
どよめきの後、客たちはホッと安心した顔をして、それぞれの着物選びに意識を戻していた。
この反応は、まさか──
「──プ」
「…っ…焔来…!! 何を笑ってるの?」
「プ、クク…っ……いや」
状況をのんだ二人。
焔来はあまりの可笑しさに腹をかかえ
リュウは不満そうに顔を赤くした。
見れば他の客たちの頬も少し赤らんでいる。
「そりゃあ女が紛れ込んでたら、落ち着いて着物選びもできないだろうな」
「ハァ…頬来。何度も言うけど僕は男で…」
「それが伝わってないんだろ?」
「……っ」
そう、周囲の男たちに落ち着きがなかったのは、何を隠そうリュウが原因。
女としか思えない彼の存在が気になって仕方がなかったのだ。