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明治鬼恋慕
第8章 城下町
「怒るなんて怖いなぁ。焔来は」
「ハァ、ハァ……怒ってたのは、お前だろ」
あれ…?どうしてリュウは怒っていたんだ?
事の発端をすっかり忘れてしまった焔来だったが、今のリュウは間違いなくご機嫌なので良しとすることに…。
“ …やっぱり俺は、リュウに甘いな ”
気だるい脚を動かして仰向けの身体を反転させた後、脱がされた着物を掴んで息を調える。
それでも恥ずかしさは残っているので、リュウと目を合わせることはできなかった。
「──…変だね。部屋の外が騒がしい」
「な…!?」
「焔来の声が聞こえちゃったかな」
「……!! ま、まずい…」
「クス……、落ち着いて。騒ぎの原因を確かめてくるから」
その時、部屋の外の異変に気付いたリュウが背後の障子に振り返る。
焦燥する焔来──対してリュウは、少し楽しげであった。