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明治鬼恋慕
第9章 紅粉屋
二人は黙って聞き耳をたてた。
その間にも人だかりはさらなる通行人を呼び寄せ、なんだなんだと野次馬が増えていく。
彼等の目的は、まさしく焔来とリュウであった。
女と見間違うような美形の少年が二人。この見世に客として来ていると聞きつけ、一目見ようと集まっているのだ。
…中にまで入ってこないのは何故かというと、例の女将がもう二人は帰ったと言いはっているらしい。
「僕ら見たさにこの騒ぎか。暇な人たちだね」
「そんなに目立ってたんだな。やっぱりリュウに女装させてれば…」
「……」
「…っ…、─ってのは冗談で」
「また襲うよ?」
「やめろって…っ」
冗談とも思えない声色で囁かれて、焔来は即座に謝った。
溜め息をついたリュウは障子を閉めつつ腰をあげる。