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明治鬼恋慕
第9章 紅粉屋

働き者の彼等に感心しつつ、今度は視線を上げる。
“ 城はここから見ても高いんだなぁ ”
そこには、たとえ屋根の上からだろうと見映えの変わらない白鷺城が構えていた。
しかし
「──ッッ…!! げ…」
山に佇む白く荘厳なその姿に見とれたのが失敗だった。
深く考えもせずに隣の屋根に飛び移ろうとしたせいで、距離のあるその屋根に片足が届かなかったのだ。
「…っ…馬鹿! 焔来!」
「しま…──ッッ」
焔来は地面へ真っ逆さま。
ぶつかる寸前に猫のように向きを変えて、頭から落ちるのだけは回避した。
ドタッ!!
「…いってて……危な」
とっさに受け身をとったので怪我はないが、背中をしたたかに打ち付けた焔来は顔を歪ませた。

