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明治鬼恋慕
第9章 紅粉屋
鈍く、生々しい音が焔来の耳に届く
そして──いつになく低いリュウの呻き声
「‥‥ふ、‥…ッ、‥ぅ゛‥…‥!?」
咄嗟にリュウを見た焔来は、およそ脈絡の無いその光景に目を見開いた。
「な…ッッ…」
「…ハァ‥っ、‥─カハ…‥!」
次の瞬間には、立ち上がった焔来に向かってひとりが刀を抜き
苦しむリュウの両腕を二人が左右から捻りあげていた。
──リュウの脇腹に刺さった刀が引き抜かれ
それと同時に吹き出した血は妙に鮮やかだ。
「──…捕らえろ」
「リュウー!!」
耳の側で博打( バクチ )を鳴らされたかのような衝撃は、叫ぶ焔来の顔から一瞬で血の気を奪った。
それに合わせて屋根から飛び立ったオオタカが、獲物である鳩を追って翼を大きく広げていた──。