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明治鬼恋慕
第9章 紅粉屋
「食事も遠慮するのか? 今朝方、『かすてら』という西洋の菓子も手にはいったところだが」
「残念ですが…」
飯でリュウを釣ろうなんて無駄なことだ。
“ 俺は釣られかけたけど ”
飯ぐらいなら世話になってもいいかもと思いかけた焔来だが、危機を逃れたからといって浮かれている場合ではないと反省する。
「じゃあ行こうか、焔来」
「そうだな」
自分に振り向いたリュウの顔は笑っていた。
しかし当然、心中穏やかなわけがない。
この後、街道に戻ったならすぐに始まるであろう
リュウからの説教を考えると気がめいる…。
「空から舞い降りた鶴の兄弟は、飛び去るのが早いのだな……」
「……?」
「──…ならば飛べぬように翼を切り落とそうか」
「‥‥ッッ、‥‥は‥!?」
ドスッ...!!