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明治鬼恋慕
第10章 狂骸湯
普段なら難なくかわせるものも、あまりに不意討ちすぎてリュウは逃げられなかった。
腹を刺されたリュウは、腕を後ろ手に縄で縛られながら、血の塊を吐き出す。
「てめぇら何してる!」
焔来は目の前で刀を構える男なんかには気も止めず、すぐにリュウを助け出そうとした。
しかし、別の者がリュウの首に刃を当てて焔来を牽制する。
「動くな」
「…っ…卑怯もの…!!」
リュウを人質にとられ、抵抗できなくなった焔来は大人しく見ているしかない。
「リュウ! リュウ…!!……くそっ! 急に刺すなんて何のつもりだ、早くリュウから…──ッッ」
「…そのように狼狽えるな。どうせ致命傷ではなかろう。──お前たち " 鬼 " にとってはな」
「…はぁ…!?」