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明治鬼恋慕
第10章 狂骸湯
「ハァ…っ、ハァ…っ、焔来、…逃げるん だ…」
「そんなの無理に決まってんだろ!さっさとリュウを解放しろ!」
「…く…っ」
焔来はリュウを、リュウは焔来を…自分そっちのけで心配している。
逃げろと言うリュウに焔来は苛ついていたし
逃げてくれない焔来に対してリュウは憤った。
だが、もし互いの立場が逆ならば、自分も同じようにするだろうと予想がついてしまう。
だから互いを罵れない。
「…やれやれ滑稽な…。実に美しい友情であるよ」
そんな二人を眺める又左衛門は、この状況を残酷にも楽しんでいる。
そして…
「…ひとつ、余興を用意しようか」
焔来に向かって指をさした。