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明治鬼恋慕
第10章 狂骸湯
俺が守るから。
たのむから
そんな…絶望した顔はやめてくれよ。
お前らしくないだろ?
「──…確認、するけど」
焔来はおもむろに盆から器を受け取る。
おお、と目を光らせた又左衛門へ向かって改めて聞き直した。
「リュウを解放する条件は、俺がこれを飲むことだな?」
「…まぁそうであるが」
「約束は、守れよ」
それから焔来は息をついて
器の中身を凝視した。
「…‥ク‥ッ……焔来‥‥!?」
「……っ」
「駄目だよ飲まないでっ!‥ハァっ、僕のことは‥」
「──…大丈夫だ」
「…!?」
ニコっ
「俺は死なない…っ。信じろ、リュウ。俺を──」
「……!」
「──…俺を、信じろ」
焔来はなるべく穏やかに笑おうと目を細めて、口角をあげる。
いつもリュウが自分に見せてくれる笑顔を思い出しながら。
そして器をあおぎ
中の液体を一気に喉へと流し込んだ。