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明治鬼恋慕
第10章 狂骸湯


「焔来ぁ!‥ハァ、やめ、離せっ‥‥んんん!」


リュウは猿ぐつわを噛まされた。

激しい怒りは声になることを許されず喉の奥に籠ってしまう。

地面でのたうつ焔来の背中を、見ることしかできない。

そんな無力な状態で…自分を花街へ連れていこうとする男たちに抵抗する事もできなかった。




“ 焔来……っ ”







「…はぁぁ…!……待、て…─ッ やく そ…くを─!!…ぐあぁっ……ク…!…ぁっあああ!!」



苦痛に狂乱し、縄をかけられ

それでもなんとか焔来が振り向いたそこに──リュウの姿はなく…血の溜まりが残るのみ。

裏口へと連れ去られるリュウを目で追おうにも

既に焔来の視覚は役に立たず、ぐるぐると回る狂った世界を漂うだけであった──。









──…




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