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明治鬼恋慕
第11章 夜叉

馬舎の裏にいた俺を見付けて、青い顔をした父さんがそんなことを言ってくるから。
…俺は、なんだか怖くて。
『 …よく聞きなさい 』
聞きたく…ないよ。
『 近頃この村で若い娘が三人、姿をくらませているのは知っているだろう? 』
知ってる。
そのひとりは、俺の友達の姉ちゃんだから。
『 ──今、村は大騒ぎだ。…っ…神隠しを鬼の仕業だと思いこみ、鬼狩りが始まっている! 』
鬼狩り──
それって、俺たちのことなの?
『 …そうだ 』
このままだと殺されてしまうって、低い声で父さんから告げられる。
本当に時間がないんだね。言葉を選ばない父さんの様子から、余裕がないことが伝わってくるよ。

