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明治鬼恋慕
第11章 夜叉

でも…っ…それって変だよね。
俺たちは鬼だけど…鬼なだけで
誰も殺してないのに
なのに、殺されるなんて。変だよね。
『 ……その通りだ 』
なら逃げなくていいじゃん!
悪いことしてないもん!
『 今は言うことを聞きなさい! 持たせられる荷物は少ないが…これを持ってお前ひとりで… 』
俺だけ?
どうして俺だけが出ていかなきゃいけないの?
俺はどうしても納得できなくて、聞き分け悪く駄々をこねた。
村を出たくなかったし、ひとりになるのも嫌だった。
すると父さんの後ろに
目を腫らした母さんが現れた。
俺は母さんに訴えた。出ていきたくないって。
…それを聞いて、母さんはまた涙を流した。

