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明治鬼恋慕
第11章 夜叉

『 生き残ってくれ。
お前は…──皆( ミナ )の希望なんだ 』
皆って…だれだよ。
『 いつかわかる 』
わからないよ。
俺は反抗的に、上目遣いで両親を見た。
母さんは相変わらず泣いていて、着物で顔を隠している。
最後くらい…しっかり顔を見せてよ。
俺、村の誰よりも綺麗な母さんの顔、大好きなんだよ。
友達がよく聞いてくるんだ。
お前んちの母ちゃん、どうしてあんなに綺麗なのって。
そんな時にはいつも、そりゃあ俺の母さんだからだって、大声で自慢するんだ。
母さん……。
『 焔来…っ。どうか、幸せになっておくれ…!! 』
…幸せに?
なれるもんか。
こんなふうに母さん泣かせて、父さんとも離ればなれになって…ひとりぼっちで
幸せになんてなれるもんか。
最後の最後に俺は、酷い言葉を投げつけた。

