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明治鬼恋慕
第12章 陰間茶屋
軒を連ねる妓楼( ギロウ )の、その格子の内側には、張り見世の遊女たちが座っている。
そんな彼女らを物色する、しまりのない顔の男たち。
男たちは、僅かな日当を握りしめて歩く小汚ない着物姿の者から、洋シャツに祐( ユタカ )を羽織った上流階級を匂わせる男まで様々であった。
手前の妓楼では客引きの声が飛び交い、料亭からは伎芸の音が漏れ、冬の寒さに負けぬ賑わいだ。
…そして通りの奥には、周囲から抜きん出た四階建ての大楼が構える。
庶民ではとても手の出せない高級遊郭であるそれの隣には、同じように敷居の高そうな茶屋があった。
そこはただの茶屋ではない──麗しき美少年たちが春を売る、陰間( カゲマ )茶屋だ。