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明治鬼恋慕
第12章 陰間茶屋



──



「……ハァ、……ハァ……っ」



赤色の円卓と、紅梅柄の衝立( ツイタテ )。

すだれ屏風が立てられた部屋の奥にリュウが横たわっていた。


美しい黒髪は畳の上に乱れ

仰向けの彼の胸が忙しなく上下している。


そんな彼の血で染まった着物の内側には包帯が巻かれており、すでに手当てをされているようだ。

けれどリュウにかけられた縄はそのままで、彼は手首と足首をそれぞれくくられていた。

傷は致命傷ではなかったものの拘束されていては逃げることができない。


「ハァ、ハァ、…ほむ ら……」


天井を悔しげに睨みながら、うわ言のように呟いた。


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