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明治鬼恋慕
第12章 陰間茶屋

少しずつ短くなっていく円卓上の蝋燭が、時間の経過を無情に突きつけてくる。

その小さな明かりが焔来の命と繋がっているような気がして…ますますリュウの焦りを煽った。

だから瞼を閉じるしかなかった。


部屋の角に置かれた香炉から、細く上がる煙も

ゆっくりと甘い薫りを漂わせてリュウを嘲笑う。


「…ハァ‥…ハァ‥」


消えないで


「……っ」


焔来……!


君を失えば、僕に残るのは──…





歯がきしむほどに強く食い縛った時だ。

硝子障子の向こうから、板張りを踏む足音がした。


ギシ...


「…‥ク‥!? ‥ッ─」


硝子に人影が映りこむ。

目を閉じるリュウはそれに気付かなかったが、障子が引かれた音に反応して薄目を開けた。



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