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明治鬼恋慕
第13章 迎撃

“ この先には関所があったような……なら、警戒を強めるべきか ”
まんにひとつ、先回りして鬼の情報が伝わっていたなら、関所を通ることは不可能。
「焔来っ、道を右にそれるんだ」
リュウは手綱を右にきり街道を降りた。
降りた先には雑木林と獣道──。ここは、正規の道ではない。
「山にはいるのか?」
「うん。足元は悪いけれど仕方がないよ。焔来も気を付けて…──ッッ!」
街道からこちらを見下ろしている焔来に、リュウは顔を向ける。
「…!? 追い付かれた…っ」
そして忠告の言葉を言い終えないうちに、焔来の向こうに…迫る影を見付けた。
「急いで焔来! 憲兵だよ!」
「くそぉ! まだいたのかよ…っ」
霞む複数の黒い影は徐々に姿を露にして、リュウたちの方へ一目散だ。
まだまだ距離としては遠い…が
だが、十分に危険である。
パァン!!
聞いたことのない爆発音。
怯えた焔来の馬がわななき、その背から彼を落としてしまった。

