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明治鬼恋慕
第13章 迎撃

「──…ならそのお礼に、殺してあげる」
「…!」
「そしてなるべく痛みをあげるよ。…生きている実感を最期に味わえるように」
「…ッ…撃て、撃て!!」
憲兵は三人。
うちの二人が同時に引き金を引いた。
リュウは瞬時に身体を横に流す。
ズガンという音に合わせて刀を抜く。
弧を描いたその軌道は、何かを弾いたように感じた。
「はずしたか…っ」
何が起こったのか人間の目には見えないが、リュウは無傷だ。
焦ったひとりが続けざまに発砲するも、狙いのぶれた弾では掠りもしない。
リュウは前方に走った。
憲兵たちは無傷の彼に恐れをなして叫んだ。
その怯えを本能的に察知したのか…馬が後ずさる。
「…ハァ…っ」
再び轟く銃声。
リュウは頭を低くさげ、銃弾をかわす。
雪に足を取られそうになりながら街道へ上がった。
「…う! く、くそ!」
一気に縮まった距離に憲兵が狼狽えている僅かな隙に、リュウは馬の足元へ──。
帯から抜いた鞘を雪に突き立て
人間ではあり得ない身のこなしで、細い鞘の上に飛び乗った。

