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明治鬼恋慕
第13章 迎撃

立てた鞘に器用に片足をのせ、そこを軸に、跳びあがる。
「は‥!?」
高く跳躍した彼の姿は、憲兵の視界から消えた。
「──ッ」
リュウは唇を噛む。
そして腕に力をこめ、銃筒を握ったまま呆然としている男のひとりを刃筋に捉えた。
.....
「うぎゃああああ!!」
次の瞬刻──男の悲鳴が小山に隠れる焔来の耳を貫いた。
「うっ腕があ! 腕が! 俺の腕がああ!」
「……!!」
その痛がりようは並大抵ではない。
何事かと焦る焔来だが、リュウの邪魔をするわけにいかないので顔を出せない。
ただ、その悲鳴がリュウのものではない…
それだけが心の支えである。
滅茶苦茶に銃声が鳴り響き、半狂乱な男の声は、数秒後にぱったりと途絶えた。

