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明治鬼恋慕
第13章 迎撃

「…ッ──ハァ…、次はどっち?」
「きっ、貴様ぁ!」
片腕を失った死体が崩れ落ちる。
その隣で狼狽えた男が、間抜け面をさらして勝手に馬からずり落ちた。
「──…」
「ひぃ…!」
主を落とした馬が走り去ると、尻餅をつくその男とリュウの目がぴたりと合わさる。
冷めているようで狂気を含んだリュウの瞳に、憲兵は震え上がった。
落ちた拍子に銃を離してしまったその憲兵の手に…すでに武器はない。
スッ──
リュウが刀を持つ腕を上げた。
「ひっやめろお! 助けて…ッッ」
「このっ…!!」
立って逃げることもできない男が頭を抱えて許しを乞うと、それを見ていた仲間がリュウに銃口を突き付ける。
「‥ッ‥ぅ、く」
発砲された銃弾は、避けきれなかったリュウの腕を掠めた。
「そ、っか…!…あんたが、先なんだね」
標的を変えたリュウが腕を振るう。
「ひぃ!…ッ…は、え‥‥!?」
リュウの手に収まっていた刀がいつの間にか消え
気付いた時には、真っ直ぐ投げられた刀が馬上の男の額に刺さっていた。
勿論、刺さった本人が気付くことはない──。
人形のようにガクンと力を失った身体は、痛みに叫ぶ前に白目をむいて倒れたからだ。

