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明治鬼恋慕
第13章 迎撃

「焔来…」
「…ってお前、腕! 怪我してるぞ!」
「うん、かすっちゃった」
「……っ」
リュウの怪我に気付いて、駆け寄る。
そこに広がる光景に──焔来はやはり、怯んでしまう。
千切れた腕。刀を突き立てられた頭。
雪に染み込んだ血が、白の世界の中でこの空間だけを生々しく浮かび上がらせていた。
「…ひぃっ! あ、あ…!!」
「……!?」
「あ…そう言えば、もうひとりいた」
そんな空間にもぞもぞ動く黒色を見付けて、焔来が身構えた。
対してリュウは気の抜けた声で思い出したように口を開く。
「忘れるところだったよ……ごめんね?」
「ゆ…許してくれ! たのむ!」
銃を持たない丸腰の憲兵。
新米なのか、殺し合いに慣れていないのか、恐怖のあまり立つこともできないらしい。
ずるずると尻を引きずって後退しながら、リュウに向かって命乞いをしている。
「殺さないでくれ…ッッ…あ、…あんた達のことは、もう追わねぇ! だから」
「…んだよ。戦意喪失してんじゃん、こいつ」
相手に戦う気がないことを知って焔来は警戒をといた。
「なぁ? リュウ」
「うん、……そうみたいだね」
スチャ───
「──…リュウ?」

