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明治鬼恋慕
第3章 擬態
親しげに握手をかわす黒髪の少年たち。
焔来は首にかかるほどで切っていて、リュウは肩をこえる長さを後ろで結んでいる。
見目も整った二人は、種類の違う美少年だった。
「──っ…焔来! 怪我はない!?」
「…っ…千代様」
惚れ惚れするような光景に、突然、ひとりの可愛らしい娘が飛び込んでくる。
父の隣に座り縁側から試合を見守っていた彼女は、草履も履かずに駆け寄ってきた。
彼女は名主のひとり娘。歳は十四になったばかりの千代である。
「急に驚くじゃないですか」
「…うでッ…怪我してない?」
「俺は大丈夫です。というかこれ試合ですよ?」
「そうだけど……」
慌てた様子の千代に、焔来があやすように微笑む。
「千代様に心配かけんなよー、色男ーー!」
それを茶化す声が見物人から次々に起こった。