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明治鬼恋慕
第14章 決別

この世界に意味なんてなかった──生きるのも、死ぬのにも。

それは、焔来に出会うまで。
仲間に巡り会うまで。



「この話は終わりにしようよ」



小屋の奥の古びた化粧箪笥( タンス )から手ぬぐいを見付けて、会話に終止符をうったリュウは傷口の血をそれで押さえた。

それから二人は食料を探し、少しの押し麦を発見する。

釜戸はないが土釜があったので、それを角火鉢の上にのせて麦を炊いた。

炊けた麦飯を腹におさめ

箪笥から夜着を引き出した二人は、それを掛け布団にして、むしろの上に身を横たえた。


「おやすみ、焔来」

「ああ、おやすみ」


落方村を出てから野宿続きであった彼等にとって、これは束の間の安息だった。

いつぶりかわからない布団の温もり。


スー、スー…


「──…」


目を閉じた二人が深い眠りに落ちるまで…

灯りの途絶えたらんぷの熱が、冷める時間もなかっただろう。







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