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明治鬼恋慕
第15章 理由

小高い所に焔来が立っていて
「…焔来?…いたんだね」
僕を、見下ろしていた。
「まだ寝ていてもよかったのに」
起こしてしまったなら悪かったな。
焔来は血が苦手なようだし、あまり見せたくなかったから。
今だって
「……ほむ…ら…?」
あんな、顔で──。
「──…」
いや、違う。
あれは、ただ単に血を怖がっているだけじゃない。
人間に同情しているだけじゃあない。
「………………どうして」
焔来、君の目はいつだって…
純粋で、素直で、だからこそ残酷だ。
今の君が何を考えているのか、僕のところまで筒抜けじゃないか。
「……クク」
その直後、渇いた笑いが腹の底から込み上げてきた。
君だけは違うと信じてきたぶん
壊れたモノが大きすぎて、僕を襲う絶望は桁外れだ。

