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明治鬼恋慕
第15章 理由
ふと、小屋の外で吹き荒れる雪の音が、止まる。
何故だ──聞こえなくなった。
そんなわけがない。
振り返ったそこの…入り口の扉は、開いていて
外の白景色は依然として荒れているのに。
「…ちゃんと 食べなきゃ…駄目、だよね…。僕が作った…──それ」
「……」
だが焔来の耳には、この瞬間──ひとつの声しか届かなくなっていた。
声の主は開けっぱなしの扉の横で、肩で息をしながら壁に寄りかかっている。
「 ──…だって…君は 僕と違う……っ。
人間を食べるのが…、苦手、なんだから、サ 」
彼の白装束は、目も当てられないほどの鮮赤な色で染め上げられ
そしてそれは……
震えながら弧を描いた口許も、同じであった。
───