この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
明治鬼恋慕
第16章 吐露
焔来は動けなかった。
相変わらず明かりの灯っていない室内だが、開いた扉から射し込む光で視界ははっきりしている。
吹き込む風は、凍るように冷たい。
カタカタ...
焔来の肩が震えだしたのも、そのせいだろう。
「──…ク、クク、は…」
だから…彼の震えに気付いたリュウは、素早く扉を閉じたのだ。
「焔来ってば、…っ…すごい顔…」
「……!?」
「フフ…そんなに…驚いたの?…開いた口もっ…ふさがらないくらい……!!」
扉が閉まって、また小屋の中は薄暗く…。
けれどどういう理屈か、焔来から見るリュウの輪郭は変わらずくっきりと鮮明だった。