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明治鬼恋慕
第16章 吐露
力が抜ける。なんて単純なんだろうか。
とことん馬鹿野郎だと、とろけた思考でどこか客観的に思っている自分。
半ば無抵抗に長い接吻を続け、そのうち口内の血が流されて、舌に絡むのがリュウの唾液だけとなった時──
血の甘さが無くなったことで、塩辛さばかりが強調された。
“ ごめん、リュウ…… ”
それでも焔来は顔をしかめる気になれない。
頭を押さえながら震えている手も、苦し気で必死な息遣いも、リュウの心中を赤裸々に表しているから。
「…ッ…ほむ…ら、その顔……すごいね……っ」
思えばこんな風に、リュウの在りのままをぶつけられた事なんて無い。
血を味わった陶酔感も合わさって、そんな事実が心地いい。
──馬鹿野郎
自分はリュウを傷付けたんだ
感傷に浸っている場合か、と
自身をなじる言葉さえ、頭の中を反射するたびに小さく…聞こえなくなっていく。