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明治鬼恋慕
第16章 吐露
くらくらと目眩に襲われた。
“ な……んの……味だ。これは……っ、ま さか ”
半開きの状態で力の入らなくなった口を、ただリュウへと捧げ続ける──。
そうしているうちに舌全体に、味が広がる。
これは
この味は
人間の血だ。
理屈ではなく直感で、焔来はそれを理解した。
「……な‥‥…ハ ァ………っ、ン、……ん、あっ‥」
「…っ…ハァ、……ほ…むら、……舌、出して…!!」
「‥ん‥…ぁ、アっ………‥─‥ふ、ぁ……」
こんなもの味わったことがなかった。
どんな食べ物より…どんな贅沢より、魅力的な…
初めての味に、身体中が沸き立ってくる。
どんな果実よりも濃厚で
どんな花よりも香しい( カグワシイ )。
そして僅かに塩辛いのは、涙の味だ。
自分のものかリュウのものか…どちらが混ざっているかは定かでないが。