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明治鬼恋慕
第16章 吐露
知ったうえで尚──触れずにはいられなかった。
泣きながら、笑いながら、呼吸を乱しながら
自分の欲をぶつけてくるリュウの余裕のない顔が、愛しくてならなかった。
「ごめん」と呟くたびに
「リュウ」と呼ぶごとに
益々崩れていく表情に…どういう訳か煽られた。
「リュウ」
「……!?」
「…ッ──‥ぅ、…‥リュウ‥!!」
ほら、また
リュウの顔が、焦って、崩れる。
目尻が下がって…朝露( アサツユ )のように透き通った涙が溢れて、焔来の指を濡らす。
「‥リュ ウ…!! 頼む…‥から‥」
「ハァ…!…ハァ…!…─!? ……な、に」
「──…ぜんぶ…吐き出せ‥」
「……!」
そこに驚きの感情が加わると、リュウの動きが一瞬 止まった。
リュウは片手を焔来の手に重ねた。
「どうして…」
悔しさとか悲しさとか、後悔とか…切なさとか
全てが渦巻いたような表情を見せた後
彼は目を閉じる。
もう、無理だよ
「──…もう…ッ 手遅れ……なんだ……」
視界を閉ざしたリュウは、重ねた手を離し、再び焔来の腰を掴んだ。