この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
明治鬼恋慕
第16章 吐露
「俺は…っ、今のリュウが好きだ」
「……!?」
「何があっても『大丈夫』だって…!! 平気な顔で笑ってるお前より──今のほうが、……今のお前のほうが……ずっと……いい……!!」
「……ハ、なに 言ってるの…!? そんなっ…わけ」
「本当なんだよ!」
「……っ」
嘘ではなかった。
リュウとのことを " 仲間 " という言葉で誤魔化してきた今までのほうが、いかに愚かであったかを痛感できる。
出会った時から仲間だった──?
そんなのは、的外れもいいところで
そんな幻想に頼りきっていた報いが、二人をここまで苦しめたのだ。
「だから…もっと……!! 吐き出して…!」
「……っ」
「俺は夜叉だから──ッ …お前の気持ち、わかってやれねぇかも しれないけど」
「…ほむ…ら」
「俺の身体っ…めちゃくちゃにしてもいい! だから全部……教えろよ……!!」
存分にぶつけてくれればいいと思った。
そうすれば、一度破った約束を、取り戻せるかもしれない。
針を呑むのは御免だし、指を切ることもできないけれど…せめて、拳骨で殴るかのように
荒々しく、力一杯
ぶつけてくれさえすれば、きっと二人は歩き出せる。
そんなふうに思いたかったから──。